消粉蒔絵は、消蒔絵もしくは、消金蒔絵とも呼ばれる。
金箔を主原料とし水飴とともに混ぜ練り合わせた後、温湯で水師し、乾燥後さらに師にかけて選別された最も細かな金粉が消金粉である。
この消金粉を使用した消粉蒔絵には、平蒔絵と高蒔絵の2つの技法があり、平蒔絵は塗物に地描漆で直接描き、消金粉を蒔き付け、高蒔絵においては、高上漆(会津呼ー下絵漆)と呼ばれる漆を使い盛り上げ、乾燥後に節研ぎ、胴擦りを行い、平蒔絵同様、地描漆で文様を描き、消金粉を蒔き付ける方法がある。
この時、使われる地描き漆は黄色顔料(石黄)と辺掻漆(生正味)を調合させたものを使用する。この調合方法は、消金粉の付着力をよくすることと、消金粉の発色効果を高める目的で行う。
消金粉を蒔き付けた後、高級化を目指すものについては、磨絵と呼ばれる技法をもちい、早蒔きし、数回の摺り漆を重ねた後、鹿の皮などで磨き、消金粉の付着力を増し、金色を優雅に表現させることを目的とした技法もある。
さらには、消金粉を蒔き放しにする技法として、粉絵と呼ばれるものもあり、仕上げについては、毛打と称される線描きを行い、先に描いた消金粉の光沢と金色の異なった光沢が得られることで、面の模様と仕上げの線描きが、はっきりしたコントラストが表現できる。
以上が消粉蒔絵の概要であり、この技術は、会津の独特な技法とされ、会津の蒔絵技法の中でも、象徴的な存在である。
DESIGN IDEA(会津漆器伝統技術1)福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター(平成10年3月,8p)P.1・2より転載
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